【第51回】
〜失敗しない家づくりは入念な準備から〜
長く住み継ぐ住まいの条件

ハウジング・ナビゲーター 亀岡 章
プロフィール

  今、私たちを取り巻く環境には大きな変化が起きています。その中でも、住宅の問題は、その代表的なケースになっています。最も端的な例が住宅ローンの問題です。キャピタルゲイン(譲渡益)があった1980年代後半から、1990年代前半のバブル崩壊までの時代は、持ち家を所有し続けている限り、地価の上昇につれて資産総額も上昇するので、長期にわたって多額のローンを組んでも人生の収支決算はプラスでした。しかし、現在は、人口の減少、少子高齢化で、今後地価の上昇は見込めません。つまり、従来のマイホーム取得の方程式が通用しない時代になってきたのです。
  これからは、「住宅」そのものの資産価値に着目して取得する事が、重要になります。住宅の資産価値を適正に評価する事ができれば、資産価値と実際の使用価値とのギャップが解消できて、マイホーム取得が着実な資産形成に結びつくことでしょう。
 「長く住み継ぐ住まい」は、私たちの暮らしを豊かにする投資なのです。
 そこで、「長く住み継ぐ住まい」の条件として有効な手段が、「住宅履歴情報」の整備です。これは、住宅の設計・施工・維持・管理まで、いつ、誰が、どのように新築・点検・保守・修繕・改修・リフォーム・リノベーション等を行ったかの記録群の事を言います。食品業界ではトレーサビリティー(生産履歴)が今では普及していますが、住宅業界でもこの制度を普及して、資産価値利用価値を適正に評価する仕組みを実現しようとしています。
  これからは、「長く住み継ぐ住まい」を所有・利用して、第三者が評価できる「住宅履歴情報」を取り揃え、家の鍵と一緒に引き渡してくれる施工会社を選ぶ事が重要です。


「住宅履歴情報」の主な項目(住宅履歴情報整備検討委員会資料による)
 
項目
主な内容
新築段階 建築確認 新築住宅の竣工までに、建築確認や完了検査などの諸手続きの為に作成された書類・図
住宅性能評価 住宅性能評価書及び住宅性能評価を受ける為に作成された書類や図面
新築工事関係 住宅が竣工した時点の建物の状況が記録された写真や各種図面・書類で竣工までの様々な変更が反映されたもの
維持管理段階 維持管理計画 住宅の計画的な維持管理に役立つ、点検や修繕の時期および内容の目安となる情報が記載された書類や図面
点検・診断 住宅の点検や調査・診断などを行った時に作成・提供される書類・図面・写真など
修繕 住宅の修繕工事を行った時に作成・提供される書類・図面・写真など
改修・リフォーム
リノベーション
住宅の改修・リフォーム・リノベーション工事を行った時に作成・提供される書類・図面・写真など